子どもたちの学力を支えているのは言葉の力だということは改めて言うまでもありません。中でも抽象的な思考を支える、漢字を「使いこなす」力はとりわけ重要だと思います。小学校高学年になると、学習の中に漢字の熟語がたくさん出てきます。新しく出合った熟語の意味がおおよそわかるか、まるっきり想像もつかないかで、学習そのものに向かう意欲も理解度も大きく左右されることでしょう。
漢字の書き取りでは一定の点をとれるけれど、意味を十分理解していなかったり、自分が書く文章の中で使えなかったりする子が実際にいます。字の形と読み方は覚えていても、それが生きて働く力になっていないのです。では、どうしたら漢字を「使いこなす」力をつけていくことができるのでしょうか。ノートのマス目をひたすら何回も同じ漢字で埋めていく練習をするだけ*1という方法をとっている指導者は今どきほとんどいないでしょうが、どんな方法が有効なのかを意識して漢字の指導に当たっている方はどれだけおられるのでしょうか。
以前、研究会でご一緒させていただいた田村利樹先生から漢字指導法研究会の研究成果として「1セット5過程の漢字学習」について教えていただきました。漢字の学習方法についてきちんとした理論に裏付けられたものがたくさんあってしかるべきだと思いますが、寡聞にしてこれ以外のものを知りません。もしあったら教えてください。
さて、漢字学習における5つの過程とは次の通りです。
- 読み方を知る
- 意味を知る
- 構造と筆順を知る
- 語彙をゆたかにする
- 表現に応用する
基本は5過程ですが、あまり硬直的に考えずに子どもの実態に合わせてしぼったり順序を変えたりしていく必要があります。なぜ、上記の5過程なのかについては1過程ごとに書いていきたいと思います。
下記のブログに1セット5過程について書かれていて参考になります。
漢字習得は、「1セット5過程」で - 日本の教育は、これでよいのかな - 楽天ブログ(Blog)
1セット5過程の漢字指導 - 日本の教育は、これでよいのかな - 楽天ブログ(Blog)
詳しく知りたい方は以下の書籍をお読みください。
たのしく学ぼう漢字―子どもの瞳が輝く授業
*1:繰り返し書くことを否定しているわけではありません