「明日」をつくるしごととくらし

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

1セット5過程(1)読み方を知る

 まず、その漢字の読み方を教えます。このとき、その漢字の読みは音読みも訓読みもすべて教えます。これを音訓同時学習と呼んでいます。
 当たり前のように思う方もおられるかと思いますが、実際には漢字の読みが複数ある場合、別々に学習することがあるのです。たとえば、ある教科書では4年生で学習する「覚」という漢字は、「さめる」という読みだけが最初に上巻に出てきて、「おぼえる」という読みは下巻に、そして「カク」という読みは5年生以降に出てくるのです。その都度、新しい読み方として扱うことになります。一度に多くの読みを学習することが子どもにとって負担になるということなのかもしれませんが、同時に扱った方がメリットが大きいのです。
 メリットについては、「『漢字歌』について詳しく知りたい人に」というページに次のようにまとめられています。

新出漢字と読みかえ漢字とに分けて音訓を学習するよりも、同時に学習するほうが、次の点で優れています。
・漢字の音と訓の両方から漢字の意味や使い方が理解できる。
・読みかえの方法だと提出されないで残ってしまっていた音訓も、落ちなく学習できる。
・教科書の教材に出た特殊な用例だけではなく、読みに合う豊富な用例が分かる。

 訓読みは意味の理解に役立ち、音読みは熟語などでの使い方を学習することに役立ちます。一つの漢字について、さまざまな言葉を学ぶことによって、その漢字の示す概念が、より「立体的」に理解できることになります。このことは、中学年以上で重要になってくる抽象的な概念を示す漢字であればなおさら必要なことです。そのことに関連した記事が以下のブログに書かれています。
「易溶」と音訓同時指導・新学習指導要領 - 日本の教育は、これでよいのかな - 楽天ブログ(Blog)

 なお、低学年、特に1年生では、実態に合わせて一つずつ読みを学習していった方がよいと思いますし、高学年でも子どもの生活や学習に関連の低い読みまで扱う必要はありません。