「児童心理」という雑誌をよく買います。目の前にいる子どもたちの心を考えるときに、示唆に富んだ論考や実際の場面に即した記事が多く掲載されていて参考になります。保護者会などで話題として取り上げたくなる内容もいろいろあります。
今月号の特集は「ルールとマナーの教育」です。「携帯電話とゲームのルールをどうするか」という青山学院大学の小林紀子教授の論文を最初に読みました。ルールづくりの基盤になるのは「学び」と「実感」であるということを考えさせられました。
どのように、携帯電話やゲームに引き寄せられ、リスクを負いつつも消費に組み込まれるよう仕組まれているか。これらを学ぶことは、藤川大祐氏が指摘するように、ゲームについてのリテラシーを身に付けていくと同時に、もの作りのヒントを学ぶことでもある。
ルールを守ることは自分を守ることだと子ども自身が学んでいれば、必然的に守るようになるでしょう。実効性のあるルールづくりの過程には「学び」が必要だと言えます。また、ルールを守ることは周りと心地よくかかわることにつながるということを実感させながらルールづくりをしていくことの必要性にも触れられています。
たとえば、「食事中のメールは禁止」というルールをつくったとしよう。携帯でのメールを禁止した家族の食事は、楽しい会話となっているだろうか。携帯電話依存やゲーム依存になりかねない状況の背景に、自身の居場所を求める子どもの実態もある。
どんなに当然のルールであっても、それを守ることの意味が実感できなければ、子どもはルールとしての価値を認識できないこともあるでしょう。逆に、家族の会話をかけがえのないものと感じている子ならば、ルールがなくても食事中にケータイをいじることもないわけです。初めにルールありきではなく、どれだけ丁寧に子どもと向き合っているかを考えてみることこそが大切なのでしょう。
他にもいろいろ参考になる記事がありました。筆者のお名前とタイトルのみ記しておきます。ぜひお読みください。
- 「学級の荒れを防ぐルールづくりのポイント−安心と理由」東北福祉大学准教授 上條晴夫
- 「愛されすぎた子どもは愛を感じているのか?」カウンセリングルーム・プリメイラ代表 袰岩奈々