「明日」をつくるしごととくらし

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

事実をもとにしてほめる

 「ほめる」というと、何だか相手を喜ばせるようなことを言って、自分の思う通りにしようというような印象をもつ方もおられるかもしれません。しかし、それは「おだてる」であって、「ほめる」ではありません。
 豊かな人間関係をつくるための原則を書いた古典的名著「人を動かす」の中で、デール・カーネギーはこう書いています。

 お世辞と感嘆のことばとは、どうちがうか?答えは、簡単である。後者は真実であり、前者は真実でない。後者は心から出るが、前者は口から出る。後者は没我的で、前者は利己的である。後者は誰からも喜ばれ、前者は誰からも嫌われる。

ここで言う「お世辞」が「おだてる」であって、「感嘆のことば」が「ほめる」にあたると言えます。事実と異なる、または過大評価したものをもとにして言うのが「おだてる」であり、事実そのものが優れていると認めて言うのが「ほめる」なのだということです。だから、ほめるためには相手の行動・状態をよく観察して、事実を正確に把握しなくてはならないのです。
 また、事実を元にしてほめることは、心から喜ばれ、相手の自己評価をより客観的にしていくことにつながります。ただ単に「君の発言はいいねー。」と言うよりも、「きちんと『そのわけは…』と理由を付けて発言できたね。」と言う方がよいと思います。えらい、立派などの賞賛の言葉はなくても、事実を取り上げて価値があると認めることが、ほめることになるのです。正確に言うと、「ほめる」を含んだアクノリッジメントになるのだということです。アクノリッジメントについては次の記事で改めて触れます。
 先に触れた「人を動かす」についてですが、随所にほめることの大切さが書かれています。「重要感を持たせる」という言葉が繰り返し繰り返し出てきます。私たちのように人間関係が重要な位置を占める仕事に就く者はぜひ読んでおきたい良書です。初版は何十年も前に書かれた本で、ちりばめられているエピソードは歴史を感じさせるものばかりですが、決して古いと思わせない普遍的な真実が述べられているのです。

人を動かす 新装版

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