「明日」をつくる生活。

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

有効な支援をするためのポイント

 被災地には毎日のようにいろいろな支援物資が送られてきます。しかし、残念ながらせっかくの善意をうまく生かせないことも少なくありません。どうすれば有効な支援になるのでしょうか。先日、購読しているメールマガジンにあった事例がとても参考になったので、ご紹介します。
 情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4) 発行の「新・火曜の会メールマガジン 第29号」より許可を得て、引用させていただきます。福島県相馬市にお住まいの山田 徹先生が書かれたものです。

 では、実際にどんな支援物資がありがたかったのかということになります。
 答えはそれほど難しいものではありません。避難所のニーズに合った物資を
必要な数だけ、必要なタイミングで支援いただくことができた場合です。
(中略)
食料が十分に行き渡っている反面、トランクスや
靴下、スリッパ、作業用長靴といった、日常生活用品がまったく入ってこない
状況を伝え、必要な数だけを送っていただくようにお願いしました。特に長靴
は、泥やガレキの上を歩く上で不可欠であるにもかかわらず、支援物資として
なかなかこなかったのです。その時点で200足近い数が不足していました。
しかも、サイズも重要です。避難されている方が希望するサイズを聞き、サイ
ズごとに数をEXCELの表にして取りまとめ、お願いすることができたので
す。

 支援する側は、以下の3点について支援される側の情報をつかむ努力をまず第一に行う必要があるということです。

  1. 必要なもの(こと)を
  2. 必要な数(量)だけ
  3. 必要なタイミングで

 この情報がつかめないのであれば、むやみに動くのを避けるか、どのようにでも生かせる義援金などの取り組みをするのがよいのではないでしょうか。支援される側も、必要なもの(こと)を遠慮せず、できるだけ細やかに発信すれば、「支えたい、役に立ちたい」という人々の思いを無駄にすることなく復興の力にできることと思います。
 一番難しいのはタイミングということだと思います。2週間前の情報をもとに物資を集め、現地に届くまでに2週間かかったとすると、ニーズが発生した時点からはほぼ1ヶ月が過ぎてしまうことになります。被災地から情報を得るスピード、得た情報を支援者に伝えるスピード、そして物流のスピード、この3つのうちどこかにボトルネックがあるとせっかくの支援も効果が薄れてしまいますし、逆に一番時間がかかっているところがはっきりすれば、その改善に一番のエネルギーを注げばよいということになります。
 情報のやりとりについては、ICTを有効に活用することで改善されるところだと思います。せっかく現地にいるので、もう少し余裕が出てきたら被災地からの支援情報を発信するお手伝いができるといいなあと思っています。
 また、山田先生は次のようにも書かれています。

 避難生活も長期に渡ってくると、必要な物資も変わってきます。しかも、避
難所の地域性によってニーズも多様化しています。避難者のニーズと支援者を
うまくコーディネートしてくれる組織がますます必要になってくると思います。
しかも、ある程度信頼できる組織であること(肩書きも)が重要です。誰でも
いいわけではないのです。

これからますます被災地と緊密に連携し組織化された支援が必要になります。一人一人の力を適切な方向に集中するために、みんなの知恵を集めていきたいところです。