「明日」をつくる生活。

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

希望の春へ 卒業式

 先週の金曜日に気仙沼小学校の卒業式が行われました。そして,今日が南気仙沼小学校の卒業式です。体育館は一つなので同じ日に実施できないのです。両日とも少し風は強いですが,晴れて門出にふさわしい天気になりました。

 東京で経験してきた卒業式と大きな流れは同じですが,細かいところでいくつか違いがありました。例えば,来賓席・職員席には机があって白布がかけられていること。卒業証書の渡し方や作法でも違いに気付きました。仙台での経験がある先生にお聞きしたところ,同じ県内でも仙台ではまた違った部分があるとのことでした。学校でも地方によってそれぞれにいろいろな文化があるのですね。
 大きく違ったことが一つありました。卒業生による「門出の言葉」の内容です。気仙沼小学校の卒業生ならではの思いのこもった言葉ですので,一部引用します。

そして迎えた最高学年 6年生
これまでの人生の中で もっとも忘れられない一年
同時に決して忘れてはいけない一年になりました。
平成23年3月11日 午後2時46分 東日本大震災発生
直後に押し寄せた大津波により 生まれ育ったこの町は一瞬にして破壊され
私たちの目には 信じられない光景と受け入れがたい現実が はっきりと映りました


水も電気もガスもない 生きることで精一杯な毎日
私たちの大好きな気仙沼小学校は 避難所へと姿を変えました
私たちの学校生活はどうなるのか
私たちは6年生になれるのだろうか
どうしようもない絶望と 言いようのない焦りが
私たちに暗い影を落としました
しかし 平成23年4月21日 私たちの気仙沼小学校はよみがえり
被災した南気仙沼小学校と肩を並べ
待ちに待った新学期が スタートしました


6年間もの長い間 ずっと楽しみにしてきた修学旅行
今年は実施できないのではないかと心配しましたが
全国からいただいた多くの義援金と
温かい応援メッセージにより
心躍るような修学旅行を実現することができました
楽しくて眠れなかったホテルでの夜のこと
台風の中 びしょぬれになりながら道に迷った自主研修など
今しかつくることのできない 忘れられない思い出がたくさんできました


(中略)


復興1年目の春
初めての取り組みとして 全校児童で安波山に登りました
2年 3年と 全校登山を続けていくことで
復興への道を歩む 気仙沼市の様子が見えてくるはずです


 折り目正しく式が進行することと,式の後にいつまでも名残を惜しむ様子はどこでも同じですね。卒業生の未来に明るい光があふれていることを願ってやみません。