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竹谷の仕事。

小学校でのプログラミング教育の普及に取り組んでいます。

子どもの「困り感」を低減するiPadの活用

 昨日,「魔法のワンド」成果報告会に参加してきました。「魔法のワンド」とは,携帯情報端末を活用して障害をもつ子どもの学習や社会参加の機会を増やすことを目指す「魔法のプロジェクト」の取り組みの一つです。

魔法のプロジェクト | 障がいを持つ子どものためのモバイル端末活用事例研究

私はこの中の一つの事例をお手伝いしました。その中で学ぶことも多かったのですが,成果報告会でいろいろな先生の話をうかがって,さらにたくさんのことを学びました。特別な支援が必要な子どもに限らず,通常の学級にも「困り感*1」をもっている子どもは必ずいます。そんな子どもたちがiPadを使うことで読み書きが楽になったり,見通しがもてて安心できたりすることにつながるといった20の事例が発表されました。発表のスライドは以下のリンクからPDFファイルをダウンロードすることができますのでご覧ください。

魔法のワンド 成果報告会公開資料 | 魔法のプロジェクト

 学んだことや考えさせられたことがいろいろあり,まだ消化し切れていません。自分のメモのつもりで書き連ねますので,意味が分からない点が多々あると思いますが,ご容赦ください。

  • 出発点はその子の夢や希望。そこから自主性や意欲を引き出すことができ,学びの成果につながる。
  • その子の夢をどうつかむか。どう引き出すか。どうもたせるか。
  • iPadをその子の学習や生活で使うと,どんなメリットやデメリットがあるのかを明確にし,保護者にも理解してもらう必要がある。
  • その子の成長につながるビジョンやプランがないままに導入してもiPadは動画サイト閲覧マシンになるだけ。
  • 導入時に「学習に使う物」という意識付けをして子どもに渡す必要がある。
  • 成果が上がったといっても,限られた場面にだけ有効なのであれば,何万円もする機械をそのためだけに使うことにどれだけ意味があるのか。
  • その子の能力を正しく見出せない,どこに困難を感じているのか正しくつかめない,どんな支援をすれば有効なのか考えられないということは極論すれば罪であるとすら言えるのではないか。
  • 教師が自分のストーリーで子どもの状況を見取ろうと(無自覚に)してしまうことがある。謙虚に見つめ直すことが必要。
  • 子どもがiPadを使っていくうちに自分で「こうすればいいんだ」という方法を身に付けることができれば,それはいろいろな場面で役立つ力になる。
  • 要求レベルはその子の状況に合わせる必要がある。しかし,通常の学級では周囲の子への指導との整合性に悩むことがある。学級の中でどう納得感を形成していくか,工夫する必要がある。
  • できないから課題のレベルを下げると,そのことが子どもの自尊感情を低下させる。
  • 楽にしてあげることで実力を発揮できるようになる。しかし,教師は「楽をさせると怠けてしまうのではないか」という心配をするようになる。
  • 診断ベースで教育を進めることの弊害が生まれている。いくら診断名をつけても改善につながらないのなら意味がない。
  • 「バリアバリュー」という言葉がある。障害をもっているからこそ気付くことがある。できなかったことができるようになったとき,その人だけに分かることがある。その価値を共有していこう。
  • 子どもの「恥ずかしい」という言葉の中には,こわい,不安,困っているといった感情が内包されていることがある。
  • 障害理解教育は一時間の授業だけでは成立しない。その後の生活の具体的な場面で子どもに気付かせたり考えさせたりすることが必要。疑似体験も体験で終わらず,「どんなふうにしてほしかったか」などを書かせて話し合う活動が重要。
  • 自己理解が進み,周囲の理解も深まると気持ちが楽になり,前向きになる。

*1:「困り感」は学習研究社登録商標です。