「明日」をつくるしごととくらし

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

全校遠足に行きました

 先週の木曜日、全校遠足がありました。行き先は、学校から1.5kmほどのところにある安波山(あんばさん)です。標高は239m。例年は学年ごとにバスを借り切っていろいろなところに行っていたそうですが、この震災で行き先がどこもだめになってしまったということです。しかし、全校遠足で安波山に登る理由はそれだけではありません。安波山の山頂付近からは、現在の気仙沼港周辺の様子が一望できます。震災後の気仙沼の現状を子ども達にもきちんと見せておきたい、そしてそこから復興に向けて歩み出すのだという強い気持ちが気仙沼小の先生方の中にあったのです。
 学校の前の坂道を降りると、郵便局の向こうが山になっています。気仙沼は坂の多いところで、海からほどなく山が立ち上がっているのです。

 郵便局の並びに市役所があるのですが、その裏側を回ると登山道が始まります。登山道に入る直前で踏切のない線路を渡ります。大船渡線です。まだ気仙沼駅までしか復旧しておらず、渡るところはまだ列車が走っていないところなのでレールが赤く錆びています。

 すぐに杉木立の中に入ります。校庭にいたときに朝から強い日差しで暑かったのですが、木陰に入ると涼しくて助かりました。

 中腹の駐車場からは、海がきれいに見えました。被災していなければ実に美しい風景なのですが…

 駐車場から登っていく入り口に、龍のオブジェがありました。このあたりの山並みは「龍脈」と呼ばれていることにちなんだもので、気仙沼で採れたアワビやホタテの貝殻、カジキの上顎の骨、地元の焼き物の瓦などで作られているそうです。

 記念に植樹をしました。学校の職員昇降口の近くに立っているカツラの木が気仙沼小学校の校木でもあるので、カツラの木の苗木を植えました。

 頂上からは、被害の大きかった鹿折地区も見えました。まだ打ち上げられた漁船が折り重なるように残されている状態です。子ども達がこういった風景を見て、どんな思いが胸の中にあったのか…高学年の子ども達はそれなりに受け止めるものはあったのだろうと思いますが、2年生の子ども達はどの程度受け止め、どう感じているのかは、はっきりとはわかりません。

 頂上には、世界の海につながる気仙沼港を描いた石版が埋め込まれていました。気仙沼の海の豊かさが一日も早く取り戻せるようにと祈らずにいられませんでした。