「明日」をつくる生活。

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

プール開き

 気仙沼小も今週の月曜日にプール開きをしました。といっても,気温などの関係で実際に入れるのはまだ先になりそうです。プールは,先日のプール清掃ですっかりきれいになり,透き通った水をたたえて泳ぎに来る子ども達を待っています。

 さて,全校が集まっての朝会がプール開きの会でした。校長先生の話や2年生と6年生の児童代表の言葉があって,最後に体育主任の先生の話がありました。一般的なプールでの注意を話すのかなと思っていたら,違いました。その先生は,今年の4月に気仙沼小学校に転任してきた方で,3月までは同じ気仙沼市の別の小学校に勤務されていました。津波のときのその学校での話です。それは,次のような話でした。

 先生は,ここに来る前の学校でも6年生を担任していました。受けもっていたクラスに,5年生の時泳げなかった子がいました。その子は6年生になってもなかなか泳げるようにならなかったのですが,泣きながら必死で練習して,6年生の水泳が終わる頃に50mを泳ぎ切ることができました。その時はクラスの子ども達みんなで,「おめでとう!がんばったね!」と祝福しました。
 3月11日の震災の時,何と,その子が津波に流されてしまったのです。一緒に逃げていたお父さんやお母さんとも離れてたった一人で,2時間40分ぐらいだそうですが,それこそ必死で泳ぎ続けたそうです。そして,何とか木の枝につかまることができて助かったのだということでした。
 皆さん,泳げるようになることは,本当に自分の命を守ることにつながるのです。一生懸命練習して,今より少しでも泳げるようになりましょう。

 話が進むうちに,みるみる会場の空気が変わっていくのを感じました。低学年の子たちも真剣な表情です。私も衝撃を受けました。子どもに泳ぐ力をつけることは,その子の命を守ることにつながる。そのことの重みを感じながら水泳指導にあたらなければならない。そんなことを切実に考えさせられた時間でした。