「明日」をつくるしごととくらし

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

小学校でプログラミング?(その4)人工知能(AI)とは

 AIというと思い出すのは、ドラゴンクエストⅣで採用されたAI戦闘システムです。それまではモンスターと戦うときに個別にコマンドを入力しなければならなかったのですが、ドラクエⅣからは「ガンガンいこうぜ」や「いのちだいじに」という大まかな方針をプレイヤーが決定すればあとは自動的に行動してくれるので楽になりました。しかし一方でプレイヤーの思惑とは違う行動をとってしまい、残念な結果に終わることもありました。
 ドラクエⅣの発売は1990年、今から27年も前のことです。今から考えればAIとは言えないようなものかもしれません。しかし、状況に応じてコンピュータが自動的に動作するという点では現在および未来の人工知能に通じる側面をもっているのではないでしょうか。AI戦闘モードをうまく使いこなすには、どのような要素を元にコンピュータが行動を決定しているのかということを知ることが必要です。また、知っていてもコンピュータ任せではうまく危機を切り抜けられない場面もあります。
 このところ、人工知能という言葉が取り上げられる機会が多くなってきました。技術の発達により、人工知能が身近な場面に適用されるようになってきたためです。以下の記事では医療や自動車、金融、小売などさまざまな活用事例が紹介されています。
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 この先、人工知能の技術はさらに進化し、ますます私たちの生活の至るところで活用されるようになることでしょう。そのような背景を踏まえ、新学習指導要領の解説・総則編にも冒頭のページで以下のように記述しています。

 こうした変化の一つとして,人工知能(AI)の飛躍的な進化を挙げることができる。人工知能が自ら知識を概念的に理解し,思考し始めているとも言われ,雇用の在り方や学校において獲得する知識の意味にも大きな変化をもたらすのではないかとの予測も示されている。このことは同時に,人工知能がどれだけ進化し思考できるようになったとしても,その思考の目的を与えたり,目的のよさ・正しさ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであるということの再認識につながっている。

子どもたちがこれから生きていく時代は、「厳しい挑戦の時代」であり、大きく急速に変化するため予測が困難であるとしています。その変化の一つとして人工知能の進化を冒頭に取り上げているのです。
 その人工知能は、コンピュータをプログラムで動かすことによって実現されています。未来を生きる子どもたちにとって、コンピュータが動く仕組みについて基本的な理解を身に付けておくことは必須の素養と言えるでしょう。プログラミングとはどのようなことなのか、コンピュータを人間が意図したとおりに動かすにはどうしたらいいのかということがわかっていれば、機械に振り回されることなく人間にとってよりよい使い方をすることができるのではないでしょうか。そしてそれが多くの人々にとっての常識になっていれば、新しい社会を一部の専門家だけに任せるのではなく、みんなで担っていくことにつながるはずです。
 小学校段階からプログラミング教育を取り入れていくことは、今後ますます人々の生活にとって必要不可欠になるコンピュータという存在について理解し、将来の社会を形づくるための力を子どもたちが身に付けるために必要なことなのです。
 なお、人工知能について理解する上で以下の書籍が参考になりましたので、ご紹介します。