「明日」をつくる生活。

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

先生がよさを実感するには

新しい年が始まって、あっという間に10日が過ぎてしまいました。なかなか厳しい状況が続く毎日ですね。少しでも良い年になるように、できることをやっていきたいと思います。

小中学校には一人一台の端末が配備されつつあります。GIGAスクール元年とも言える年です。しかし、構想の具体化には壁がいくつもあり、関係されている皆さんが乗り越えるべく懸命の努力を続けています。接続回線の十分な速度は確保できるのか?ID の付与はどうする?持ち帰る際の運用はどのように?などなど…こういったことを初期段階でうまく乗り切ることが大切なわけですが、知り合いの先生方のやり取りを見ていると、そのご苦労に頭が下がります。

さて、自分の立場で何ができるだろうか。それは、「先生方にデジタルを使うことのよさを実感してもらうこと」ではないかと考えました。どんなに環境が整っても、よさが感じられなければ活用はされないでしょうし、逆に多少の困難があっても、よさを感じれば何とかして使おうとすることでしょう。

では、どんな要因が妨げになるのか、どうすればよいのかを、現場を知る何人かの方に聞いてみました。

  • 最初から高度な使い方をしようとしてしまう
  • 特別なものとして位置付けてしまう

「魔法の道具」みたいな感じで事前の期待が高すぎると、実際とのギャップに気持ちがしぼんでしまうのでしょう。ちょっとずつ、ふだん使いの道具として導入することを考える必要がありそうです。

  • ちょっとしたトラブルで嫌になってしまう
  • 自分で解決できないトラブルで使うのが怖くなってしまう

ほんの1〜2分でも授業が止まってしまうと回復するのに労力がいる場合があります。機器のトラブルで一度そういう経験をしてしまうと、次にチャレンジしようとはなかなか思えないでしょう。すぐトラブル対応できる人がいるとか、ダメだった場合の代替策があるなど、「何かあっても大丈夫」という環境を提供できるといいです。

  • なじみのない言葉がたくさん出てきて覚えるのが面倒
  • これまでの仕事のスタイルを変えなくてはならないことへの抵抗感
  • 何年か使ったシステムが変わってデータが移行できない経験をした
  • デジタルの強力な力を知らない

使い始めは確かに学習負荷が高いことでしょう。時間をかけて慣れていくしかない部分もあります。最初は苦しいけど、あとで楽になるイメージがもてるかどうかが分かれ目ですね。慣れたところでまた一から学び直しなどということがあると台無しです。そうならないように次の移行を見越した導入や、特定のシステムに依存しないスキルを育成していくことも必要でしょう。「デジタル化したら苦しくなっただけ」では意味がありません。

  • 手軽さと楽しさを感じてもらえるような紹介をする
  • できないことにフォーカスするのではなく、できることを少しずつ提案する

いくら外部の者が良いことを言っても響きませんが、同僚の影響は大きいのです。一緒の職場で推進する立場の方がこういった姿勢を示してくださると着実に進んでいくことでしょう。

  • 活用に否定的な保護者がいる
  • 活用に否定的な管理職がいる

周りからの影響もまた大きいものがあります。保護者の立場もさまざまなので、理解を示す人もいれば、「ノートをきちんと取る指導の方が大事」という人もいます。管理職にも、率先して推進する人もいれば、拒否感をもっている人もいます。この辺りは個人の力ではいかんともしがたいところがあり、学校として対応するとか、教育委員会としてビジョンを示すことが求められると思います。

先生が自分の仕事にデジタルを取り入れて働き方が改善されたと実感でき、授業にデジタルを取り入れたことで子どもたちの育ちを実感できれば、新しい時代に即した学びの場の実現に向けて大きく進むことと思います。少しでもそのお手伝いができればと、年初に思いを新たにしました。
今年もよろしくお願いします。