「明日」をつくるしごととくらし

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

プログラミングは教科をつなぐ接着剤

 タイトルは、プログラミング教育指導教員養成塾に参加してくださった先生が3年ぐらい前におっしゃった言葉です。とても印象に残って、研修などでもときどき使わせていただいています。

 プログラミングを教科に関連付ける際に、1つの教科の枠に閉じ込めてしまうのでなく、教科等横断的な課題解決に活用していくと、プログラミング教育のねらいをよりよく達成できるように思います。そのことがひいては、新学習指導要領が求めている学習の基盤となる資質・能力の育成につながるのです。

 教科を学ぶことによって、その教科固有の見方・考え方を身に付けることができますが、それはゴールではありません。各教科で身に付けた力を自在に使って目の前の問題を効果的に解決していけるようになることがゴールなのです。従って、現実の問題に近い形で、学んだことを適用する場面に子どもたちを向かわせる必要があります。今までに身に付けたもののうち何が使えるかを考え、適用し、うまくいかなければ修正して再度適用してみるというプロセスを回していくのです。であれば、教科等横断的になることは必然と言っていいかもしれません。そういった授業を構想していく際にプログラミングが媒介になることが想定され、「接着剤」という表現につながるわけです。

 誤解されていることが多いのですが、プログラミングが初等教育から導入されたのは教科の理解をより確かにすることが第一なのではありません。(と言うと、抵抗を感じる先生が多いようですが。)そもそものねらいは文部科学省のいろいろな文書からも読み取ることができます。例えば、小学校学習指導要領解説 総則編の第3章第3節の1の(3)には、プログラミングに取り組むねらいとして次のように書かれています。

論理的思考力を育むとともに,プログラムの働きやよさ,情報社会がコンピュータをはじめとする情報技術によって支えられていることなどに気付き,身近な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育むこと,さらに,教科等で学ぶ知識及び技能等をより確実に身に付けさせることにある。

 子どもたちが、現代の社会が情報技術に支えられていることに気付くこともなく、コンピュータをよりよい社会の実現に活用しようという態度を育むこともないのに、「プログラミング教育」と位置付けることはできないのです。