「明日」をつくる仕事。

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組んでいます。

発表者を指名するネコ

 みんなのコードでは、週1回の全社定例のときに、冒頭のチェックインとして全員がその1週間を30秒にまとめて話すコーナーがあります。誰から話すかは Scratch を使ってネコに指名してもらっています。
 先日、以下の賞をいただき、その関連のウェビナーで紹介したところ、思った以上の反応をいただきました。 www.jiji.com  下のウィンドウで試すことができます。緑の旗をクリックしてください。「a」キーを押すと、右側の発表前のリストに全員の名前が入ります。スペースキーで、ネコが発表前の人をランダムに選んで指名します。音声合成を使っています。発表するときに「Dram Jam」が鳴って、ネコが短くダンス?します。

 オンラインミーティングで全員が話すときなどに、よかったら使ってみてください。下のリンクからプロジェクトのページに行けます。メンバーを編集するにはリミックスしてください。

https://scratch.mit.edu/projects/550718138

GIGAスクールと個人情報保護

 昨日、残念なニュースを目にしました。 news.livedoor.com  今回は名古屋市でしたが、他の自治体の一部でも同様の状況があるのではないかと危惧しています。個人情報保護条例に則して精査し、対応の方針を明確にした上で個人情報保護審議会に諮るなど適切な手続きを踏んでいればいいのですが、それを怠るとこのような事態になってしまいます。

 不利益を被るのは子どもたちであり、現場の先生たちです。早急に手続きを進めて、一日も早く使用が再開できることを願っています。

「個人情報に該当するという考えが及ばなかった」と市教委は釈明しているとのことです。どんな方が担当されたのかわかりませんが、教育委員会の中に ICT に通じた方がおられないところもかなりあることでしょう。こういう事例をきっかけに、教育 CIO の必要性が認識され、多くの自治体に設置されるようになってほしいと思います。

教育CIOに関連した文部科学省の資料 PDF:569KB

オンライン読書会って楽しくて学びがある

 今日からこの本の読書会をオンラインで始めました。

 Facebook の友達限定で参加を募集したところ、25名の申し込みがありました。(数名いればいいかな…)と思っていたので、うれしい誤算で(ちゃんと準備しなきゃ!)とモチベーションが上がりました。仕事の都合などで参加できなかった人も多く、第1回の今日は14名の参加(そのうち5名は耳だけ参加)でしたが、当初の想定からすれば上出来です。

 リアルの対面でなければ得られないものもありますが、オンライン(今回は Zoom)だからこそできることもあります。お子さんの世話をしながらとか家事をしながらでも参加できます。同じ日本だけど1,000km以上離れたところにいる人が同じ時間を共有できます。どうしても時間が合わなければ録画を共有したり、Slack などの非同期でコミュニケーションできるツールを使ったりすることもできます。

 今回参加してくださった方の感想を紹介します。

・ひとりで読んでいるときより内容を真剣に読みますね。
・気になっていたキーワードの掘り下げはとても参考になりました。
・軽く読み飛ばしてしまうところも深く話し合う中で落とし込めることができたと思います。

 私も今日の話を聞いて、流していたところをもう一度読み直すきっかけをいただきました。いろいろ反省点もありますが、とにかくやってみてよかった、やってみなければわからないことに気付けたというのは大きな収穫です。また次回が楽しみです。

GIGAスクール端末の活用状況は?

 内閣府ゴールデンウィークの時期に「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」をインターネットで実施しました。対象者のうちの子育て世代約2,000人に1人1台端末の活用状況について質問したところ、次のような結果が出ました。 ※ https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/result3_covid.pdf の28枚目

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 この数字をどんなふうにご覧になるでしょうか。「新年度が始まって1か月経っても、まだ半分も使われていない」という見方もあるでしょう。私は自分の学校での経験からすると、「ただでさえ忙しい新年度の初めに新しい端末が来て、子どもから活用していると聞いている保護者がすでに4割もいる」と見て、先生たちや各自治体の教育委員会はがんばっているのだなと感じました。

 私が気になったのは、「良くわからない」という保護者が2割近くいることです。たいていの保護者は家庭での子どもの様子からしか判断できないという要因はあるにせよ、学校や教育委員会からの発信が十分ではないのが原因だとしたら困ったことだと思います。

 いずれにせよ、この割合だけを見て成否を判断できるようなものではなく、個々の状況を改善するための資料にしていくことが必要でしょう。GIGAスクール構想は、今までにない施策を今までにないスピードで進めている途上なのですから、引き続き経緯を見守り、日本の子どもたちの学習環境を向上させるためにそれぞれの立場で何ができるかを考えていくべきです。

 現場の先生たちからすると、資料提示などの教具として使ったり、子どもたちにプレゼンを作らせたりインターネットで調べ学習をさせたりしたことはあっても、自分自身でクラウドを活用した経験はないという人が多いようです。

 文部科学省は StuDX Style(スタディーエックス スタイル)というサイトを作って、全国の教育委員会や学校などから活用事例を集めて発信しています。AppleGoogleMicrosoft が提供する活用情報へのリンクもあります。先生方も多忙だとは思いますが、ご自身でも情報を集めて取り組みを前に進めていくことを願っています。 www.mext.go.jp

英語もコワくない(でも勉強しなきゃね)

 英語の情報をラクに扱ったり学んだりするために、私がやっている方法を書きました。
目次

背景

 中学から大学まで英語の勉強はしたわけですが、自分の人生において英語を使う必要感がなく、教員になってからも(小学校で英語は使わないよな)と思っていました。10年前から高学年に外国語活動が導入されましたが、ALT と一緒にやっていくのなら、今の英語力(?)でも何とかなりそうと思ったままでした。

 しかし、今の仕事になってから、Googleさんとの協業とか、国際イベントで(やっぱり、英語力あると可能性広がるなあ)と思うことが多くなりました。そしてさらに、プログラミング教育や学習科学、世界的な教育のトレンドに関する資料は、英語のものが圧倒的に多いのです。(もっと英語の勉強しときゃよかったな…)と今さら思うという、あるあるな状態です。でも、だからこそ、必要感をもって学習する主体となったのだとポジティブに考え、英語に向き合おうと思ったわけです。

 とは言え、目の前にある英文資料がすぐに読みこなせるはずもありません。そこで、テクノロジーの力を借りることにしました。ここ数年の機械学習の進化により、自動翻訳のレベルは格段に上がっています。おかげで Web が使えるコンピュータさえあれば、英語の情報からのインプットはかなりラクになりました。また、音声認識も精度が上がっているので、聞く・話すの英語学習も Web やスマホでできるようになっています。

英文を読む

 単語*1や短い文章の場合*2Google 翻訳を使っています。Chrome拡張機能をインストールすれば、翻訳したい部分を選択して拡張機能のアイコンをクリックするか、選択部分上で右クリックして表示されるメニューから「Google 翻訳」をクリックするだけです。詳しくは次の記事を参照してください。 original-game.com

 長い文章の場合は DeepL を使っています。とても自然な訳を返してくれる優秀な翻訳サービスです。無料でもテキストなら一度に5,000字まで、Word や PowerPoint のファイルなら月に3文書(1文書の上限5MB)まで利用可能です。 www.deepl.com 英語の論文などは PDF が多く、範囲選択してコピペすると変なところで改行が入ってしまい、結果に影響してしまうことがあります。それを避けるための方法も先達たちが教えてくれます。 cork31-naikai.com

英語の YouTube を見る

 英語の動画コンテンツにも良質のものがたくさんあります。以前は(英語かあ…)というだけで、そっと閉じていましたが、字幕の自動翻訳が使えるようになった今は(とりあえず見てみよう!)と思うようになりました。YouTube で自動翻訳の字幕を出す方法は例えばこちらの記事を見てください。この説明と違って最初は「自動翻訳」がメニューに出ない場合もありますが、そんなときは一旦「英語(自動生成)」を選んでから、もう一度やり直すとメニューに出てくることがあります。 www.howtonote.jp  また、字幕が出る動画は自動生成による文字起こしを表示することもできます。タイムスタンプを非表示にして文字起こしの部分をコピーし、DeepL などで翻訳したものを読むとさらに理解が深まるでしょう。ものによるかもしれませんが、改行が途中に入っていても、さほどおかしなことにはなりませんでした。 www.howtonote.jp

英語を学ぶ

 さて、自動翻訳がいろいろな場面で使えるようになってきていますが、資料を読むにも手間がかかりますし、リアルタイムのコミュニケーションにはまだまだ使いにくいです。やっぱり自分の英語力を上げる必要があることには変わりありません。さて、ここまでは無料のサービスを使ってきました。英語を学ぶのも工夫すれば無料でもずいぶんできるようです。しかし、やはり有料のサービスはよくできていて、手間をかけずに学習できることが分かりました。今は英会話についてはこちらで修行しています。 talkingmarathon.com  最初は簡単な英語でもスッと口から出てこない状態でした。でも、1日15分程度を半年ほど続けたら短いフレーズならだいぶ出てくるようになってきました。もう少し続けたら、オンライン英会話レッスンに移行しようかと思っています。
 また、全体的な学習はこちらのサービスを使っています。自分のレベルを判定してくれて、それに合わせたレッスンを提示してくれます。個別最適化された学習、ですね。自分の好きなときに、ちょっと空いた時間を使って学習できるのもハードルを下げてくれます。 www.zkai.co.jp  リスニングは勧めてもらった本に取り組んでいますが、聞き取れてないな〜という自分にがっかりすることが多く、なかなか進んでいません。

 でも、ここに書いたからにはまた改めてがんばってみようと思います!  

運動イメージを言語化する

 運動スキルを教えるときに、できたときのイメージや感覚を言語化してうまく伝えられるといいですね。

 先日、Twitter のタイムラインでこんなツイートを見付けました。


 高橋秀人選手は、かつて東京学芸大学からFC東京に入団してプロサッカー選手としてのキャリアをスタートしました。自分の母校から応援しているチームに入ったので、ずっと注目している選手です。こういったところにこだわるあたりを見ていると、やがて指導者としてチームを率いる立場になったときが楽しみだなあと今から思っています。
 高橋選手も別のツイートで「言語化=できるではない」と書いているように、言語化すればよいというものではありません。しかし、どのように言語化するかを考えることは指導者として必要なことだと思います。

 また別の例ですが、自動車教習所で教え方の上手な教官に感心したという書き込みを見かけました。ブレーキの踏み方について、「足を乗せただけを0、少し押して1、もう少し踏んで2、さらに踏んで3。グッと押すのは4だけどめったに使いません」と5段階で、実際にやりながら示してくれたとのことです。さすが多くの人に運動スキルを教えてきただけありますね。

 運動イメージの指導ということで思い出すのが、音楽の研究授業に講師としていらっしゃった先生の言葉です。音楽に運動スキル?と思われるかもしれませんが、歌を歌うのは喉の使い方や呼吸の仕方など運動スキルの要素がありますよね。その先生は、「喉の奥を開けなさい」と言う代わりにこんな指導をされました。研究授業の終わりに6年生の子どもたちにかけた言葉です。

手に熱いジャガイモを持っていると思ってください。
熱くてじっと持っていることはできません。
(アチチチ…と手を入れ替えるしぐさをさせながら)
そのジャガイモを口の中に入れます。
熱い物を口に入れたときどうします?
ハフ、ハフ、という感じになりますよね。
そうそう、君、うまいね〜
その口の奥の感じを忘れないようにしてもう一回歌ってみよう。

直後の歌声は響きがぐっと豊かになりました。参観している先生方の感心した表情…

 繰り返しになりますが、言語化できればうまく教えられるというわけではありません。しかし、言語化が運動イメージの獲得に有効であることは確かだと思います。

「探究的な学習」とは

 探究的な学習がこれから重要になるとこれまで研修の中でもお話ししてきました。しかし、探究的な学習とは何かということについて、自分自身、きちんと確認していなかったように思います。SNS のある投稿をきっかけにまとめてみようと思いました。

 自分の関心領域は公教育にあるので、学習指導要領関連の記述を当たってみます。【総合的な学習の時間編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説には次のような記述があります。

探究的な学習とは,物事の本質を探って見極めようとする一連の知的営み

 さらにその前段には、「探究的な学習の過程」についての記述があります。

  1. 日常生活や社会に目を向けた時に湧き上がってくる疑問や関心に基づいて,自ら課題を見付け,
  2. そこにある具体的な問題について情報を収集し,
  3. その情報を整理・分析したり,知識や技能に結び付けたり,考えを出し合ったりしながら問題の解決に取り組み,
  4. 明らかになった考えや意見などをまとめ・表現し,そこからまた新たな課題を見付け,更なる問題の解決を始めるといった学習活動を発展的に繰り返していく。

 そして、その記述に対応して次の図が示されています。 f:id:takeya_masaaki:20210605185731p:plain

 ここからは私の解釈になります。まず、子ども自身が見付けた課題からスタートします。子どもの要求を無視した押し付けの課題であってはなりません。もちろんそれは、学習者が周りの人や環境との関わりから立ち上がってくるものであり、最初はぼんやりしていることもあるでしょう。だからこそ、そこに教師の役割があります。子どもの課題意識を引き出し、明確にしていく「仕掛け」を講じていくのです。教材や場の設定、体験の機会、意図的な情報の提示といったことが要素として考えられます。
 続く情報の収集ですが、よくある「調べ学習」に留まってはならないと思います。観察や実験、フィールドワークなど、子どもが意図した活動から幅広く得られるものと考えるべきでしょう。「見てみたい、やってみたい」を大事にするべきだと思います。それこそが、主体的な情報収集につながるのです。
 そして、整理・分析の段階が最も難しく、最も重要だと言えるのではないかと思います。分類する・比較する・関連付けるといった高次の知的活動を伴いますし、子どもたちにとってはそのための基準や視点が十分には身に付いていないことが往々にしてあるからです。ということは、教科の学習活動の中で、汎用的に使える道具を身に付けさせる活動を仕組んでいく必要があるでしょう。例えば、シンキングツールを取り入れて使い慣れていくことが有効ではないかと思います。
 最後の段階、まとめ・表現も多様な方法を身に付け、その中から自分の意図に合ったものを選び取れるようにすることが必要です。エッセイ・レポート・新聞・ポスター・小冊子・プレゼン・演劇・映画などさまざまな形式が考えられます。コンピュータのプログラムもそのうちの有力な一つでしょう。多くの要素が総合的に関連した形で成果を提示することができれば、それはきっと現実の社会を変えていく力になるはずです。難しいのはどう評価するかということですが、そこは今まで研究が進んでいないところなので、試行を重ねて形を作っていくしかないでしょう。
 さて、ここまで日本の教育行政における「探究」について、みてきました。今後、もう少し視野を広げて「探究」について掘り下げていきたいと思います。