「明日」をつくるしごととくらし

テクノロジーを取り入れた教育の普及に取り組む NPO で働いています。

フローとストック:情報活用の視点

私たちは毎日、たくさんの情報に触れています。この情報の山をどう整理し、どう使うかは、多くの人が頭を悩ませる問題です。そこで、情報を「フロー」と「ストック」という見方で捉えてみましょう。この考え方は、仕事の効率やコミュニケーションをスムーズにするのに役立ちます。「フロー」と「ストック」という言葉はもともと経済学の用語ですが、経済以外の様々な分野でも使える有効な視点です。

「フロー」情報とは、流れていく一時的な情報を指します。たとえば、メールや Slack のようなチャット、SNS でのやり取りがこれに当たります。この種の情報はすぐに更新され、時間が経つにつれてその価値は減少していきます。一方、「ストック」情報は、時間が経ってもその価値を保ち続ける情報です。これは、参照されたり、再利用されたりするもので、クラウド上のドキュメントや Notion のようなナレッジ管理ツールで整理・保管されます。

フロー情報はその時々において重要度が高く、スピーディに共有する必要があります。時間が経つと状況が変わってその価値は失われていくので、重要な部分はストック情報として保存しておくとよいでしょう。たとえば、チャットでの会話から重要な点を抜き出してドキュメントにコピー&ペーストしておけば、長期的に利用できる価値ある情報とすることができます。ストック情報は保存する場所を限定しておいたり検索しやすい工夫をしたりしておくとフロー情報として活用できる場面が多くなります。

情報があふれる現代において、フローとストックを意識しないまま情報を扱うと、大切な情報を見失ったり、情報の過剰な蓄積が生じたりすることがあります。例えば、重要なプロジェクトのメールが日々の大量のメッセージに埋もれてしまうことがあります。また、チャットで共有された重要な情報が時間とともに流れてしまい、後で必要な情報を探すのが困難になることもあります。

情報をフローとストックという視点で管理することにより、必要な情報を適切なタイミングで活用することが可能になります。例えば、プロジェクトの詳細な議事録は文書化してメンバー全員がいつでもアクセスできるようにストック情報として保管し、プロジェクトの進捗はチャットでリアルタイムに共有するといったようなことです。このようにすることで、仕事の効率を上げ、重要な情報を見落としたり時機を逸したりすることを防げます。情報の特性を理解し、それぞれの状況に合わせてフローとストックをうまく切り替えることは、ますますデジタル化が進んでいく現代において非常に重要なスキルです。

初等中等教育の中で育成する情報活用能力の一部として、意図的に指導する場面を設定することも必要だと言えるでしょう。